イラクレポート(2002〜2003被占領まで)目次

イラクレポート 2002〜2003 #5

[バグダッド到着] [鎌仲レポート1] [鎌仲レポート2] [ムスタファの村] [イラクの休日] [イラクのクリスマス] [国連査察団とのカーチェイス] [正月の温泉] [町工場の職人と手作りのトランス] [サード家の紹介] [灯油売りの兄弟] [朝礼] [バグダッドスケッチ] [3/20〜4/1までの経緯] [空爆下の市民 1] [空爆下の市民 2] [バグダッドの今] [戦闘が終わって]

イラクの休日



博物館に社会見学に来ていた女子中学生たち

CDを売っていた軍人

バクダッドの中心街。アルラシッド通り

バクダッドの中心街。アルラシッド通り
アルラシッドホテルの玄関に張ってあるタイルには湾岸戦争のときの アメリカ大統領ブッシュの顔がはめ込まれている。
入り口には「BUSH IS CRIMINAL」ブッシュは犯罪者だと書かれていた。
 金曜日はイスラムの日曜日にあたる休日だ。 バクダッドの繁華街の年末の慌しさは、日本と変わらない。 そんな年末でも市内中心部のバクダッド博物館にはにたくさんの人々が来ていた。 バクダッド市内のワッハラーン中学校の女子中学生の2年生が社会見学で来ていた。 女の子たちは楽しそうに大きな歓声を博物館の中に響かせていた。日本の中学生と同じだ。
 彼女たちに戦争やイラクの国について質問した。 いきなり不躾だったが「サダムフセイン大統領ををどう思うか?」と聞いてみた。 元気の良い答えがあちこちからかえって来た。 イーヴィン・アサダアラー(14)さんは「サダムは私たちのお父さんよ」と即座に屈託無く答えた。 さらに、アメリカの攻撃を前に「今、とても緊張している。私たちはこの戦争に必ず勝つと思う。 サフダム フセインを信じているわ。反対にブッシュは世界を壊す破壊者よ、 非常に汚い人だと思う。犯罪者だわ。なぜそう思うかですって。 なぜなら子どもたちが大嫌いな人だから」と元気な答えが返ってきた。 みな口々に同じような答えを返してきた。 一方、ヘンドゥディア・カミル(14歳)は「アメリカ人はとてもいい人よ。 問題はアメリカ政府よ」と非常に冷静な答えが返ってきた。 引率の先生は子どもたちに自由に自分の意見を述べさせていた。
 アラビアンナイトの世界を彷彿とさせるアル・ラシッド通りの歩道にCDレコーダを並べて売っていた青年に出会った。 アリー・ジェリール(20)さんは兵役に就いているが1週間の休暇中で自宅に帰ってきていた。 しかし、彼にゆっくり休暇をタニシ無時間は無い。家計を助けるために町に出てCDを売っている。 「私は軍人だ。アメリカが来たらやっつけるための準備は出来ている。 我々は恐れていない。神を信じているから。 イスラム社会、アラブの国々はわらわれの兄弟だから彼らは我々を助けてくれる」ときっぱり言う。 両親はアメリカが攻めた来たら「戦うべきよ」といつも言われている。
 9月末に訪れたバクダッドと表面上は何も変わらないが、市民の中には迫り来る戦争が重苦しくのしかかっているようだ。
 イラクでもっとも高級のアル・ラシッドホテルの玄関には「BUSH IS CRIMNAL」 (ブッシュは犯罪者だ)というタイル張りのブッシュ大統領の顔が (湾岸戦争当時の米ブッシュ大統領つまり現ブッシュ大統領の父親)はめ込まれいている。 ホテルに入るお客さんは否応無く皆ブッシュの顔を踏んでゆかなければならない。 これはイラク人のジョークにしてはきついジョークだ。 しかし、これまでアメリカによって受けてきた仕打ちを考えればちょっとしたジョークに過ぎない事がわかる。
 いま、多くの外国人ジャーナリストがこのホテルに宿泊している。 世界中では1000人以上の外国人ジャーナリストが入国のためのビザの発給を待っているという。 いま、世界の熱い目がイラクに注がれている。

このサイトの写真・文章の著作権は、森住卓に属します。無断での二次利用を禁じます。
Copyright Takashi Morizumi