自衛隊の内部文書についての緊急声明自衛隊のイラク派遣などに反対する市民団体やジャーナリストなどの自衛隊に よる監視調査が明らかになった。6月6日、日本共産党の志位委員長が記者会見で自 衛隊の内部文書を入手し発表したものだ。自衛隊情報保全隊が行っていた調査活動の「内部文書」の中には私の名前も 何カ所か出てくる。日本全国で行われたイラク戦争関連写真展に関わる部分だ。 このような調査は国民の知る権利や思想信条の自由を真っ向から侵害するもの であり、民主主義社会において許される行為ではない。自衛隊法にもない活動であ り違法の疑いもある。 私がイラクの写真展で伝えたかったことはイラク戦争で誰が殺され、誰が犠牲 になったのか?イラクで起こっている事実を多くの人に知っていただくために写 真を貸し出している。 自衛隊の調査監視活動は、私の写真展の開催に無言の圧力となり、同時にジャ ーナリストの知らせる権利と市民の知る権利を奪うものだ。自由社会は意見が自 由に言える社会である。しかし、この行為を許せば自由で民主的な社会から閉鎖 的監視社会に拍車をかけることになる。 今日のイラクの混乱は国際社会のルールを無視した侵略戦争を行ったアメリカ に責任がある。そして、その戦争を支持しイラクに自衛隊を派遣した日本政府に も重い責任がある。 自衛隊がイラク戦争に反対する市民やジャーナリストを監視する事は、イラク 戦争が「自由と民主主義の実現」という大儀も無かったことを自ら証明している。 イラク戦争に加担した責任をとらず逆に市民の活動を監視することは”天に向か ってつばを吐く行為”であり、民主主義社会への挑戦である。 調査を行った情報保全隊とは「自衛隊の機密情報を守り、その漏洩を防止する」 ことが本来の目的だ。市民やジャーナリストを監視する行為はその目的からも逸 脱している。市民やジャーナリストの監視・調査に時間とエネルギーを使ってい たから、隊内からイージス艦の最高機密が漏洩しても気づかなかったと言われて も仕方ないであろう。 自衛隊は直ちに調査活動を中止し、調査の全容を明らかにし、その責任を明確 にすべきである。 2007年6月9日 フォトジャーナリスト 森住 卓 |
自衛隊内部文書の公表をした記者会見詳細(動画あり・資料全文書あり) |
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA) は、 声明 「自衛隊による市民・ジャーナリストなどの情報収集・監視活動に抗議する」 を発表しました。(PDFファイル) |