◆写真展の報告◆ 龍谷大学(12/16-18)北浦教子さんより

三日間の来場者数はのべ約260名。うち67名の方がアンケートに記入して下
さいました。その内容はどれも来場者が写真をみて心を痛めたり悩んだり意識が
変化したりする様子を伝えるものでした。メディアを通じてながれるイラクのイ
メージが変わった、自分の目でみることはとても大切だ、実情は想像していたよ
りもひどかった、気持ちだけでなく次は行動することが大事・・・などなど、短
い開催期間でしたがこれほどの人々の心に働きかけることができ、本当にやって
よかったと思いました。

初日にKBS(京都テレビ)の取材があり、同日お昼と夜のニュースで放映して
くださいました。二日目には京都新聞の取材があり、三日目の朝刊に結構大きく
載せていただけました。二日目と三日目はこれらのニュースや新聞を見てこられ
たという方々が5名ほどいました。平和をおもいながら歩く活動をされている方
が来てくださり、新たなつながりが生まれました。戦争を体験したおじいさんも
来られました。また、学内の新聞部からの取材もありました。こうして発信し
て、どんどん広がりつながってゆくといいです!

みんなの感じたことがたくさんつまったアンケート用紙をどんどん貼りだしてゆ
きました。来場者は森住さんの写真をみるとともにそれをみて他の人がどんな風
に感じたのか、考えているということを共有してもらいました。

実行委員突然の呼びかけに応えて集まってくれた実行委員は皆本当にがんばりま
した。自主的に授業で広報したりお手伝いさんを連れてきてくれたりしました。
当日配布した資料やアンケートの作成も私を含め四人で分担して行いました。最
終日には「もっと勉強したい」という言葉もきかれました。また、実行委員以外
にも10名ほどのお手伝いさんがそれぞれの都合に合わせて入れ替わり立ち代わ
りやってきては作業に手を貸してくださいました。なんてたくさんの方々の協力
と関心によってこの企画が成り立ったことか、驚きと感謝の気持ちでいっぱいに
なるとともに、それほど情勢に適った企画であったのだと改めて納得しました。
今回の活動をどうやって次につなげていったらよいのかまだ考え中ですが、これ
で終わらせるのはなんとももったいない気がします。次のことを考えながら報告
を書きたいと思います。

会場となった校舎は語学の授業が多かったため、外国人の先生方も写真展に足を
運んでくださいました。ある英語の先生は「この写真展はフェアでない。サダ
ム・フセインのやった悪いことについては展示されていない。」と怒っていまし
た。かたや「この写真展をアメリカでもやってほしい」というアメリカ人の先生
もいました。こういった外国の人々との対話に、実行委員やお手伝いにきてくれ
ていた学生も衝撃を受けたようでした。

私が写真展に来てくださった方々との対話を通じてもっとも強く感じたことは、
イラクという国やサダム・フセインさんについてよくないイメージ、悪者のイ
メージが多くの人々のなかに染み付いているということです。私は、この写真展
を通じて、こんなにも弱っている国・人々に対してアメリカという大国が戦争を
しかけようとしていることについて率直に疑問を感じてほしいと思っていまし
た。しかし、普段の新聞やテレビニュースの報道を通じてつくられた人々のイ
メージは固く、苦しむ民衆に対する同情は湧いてもそこからなぜこの戦争をする
必要があるのかという発想になかなか向かわず、フセインさんが人々を困窮に追
い込んでいるといって非難する人が多かったように思います。

ただ、アンケートのなかで「このような状況下、私たちはどのように動くべき
か」という問いに対してはアメリカに嫌われても戦争に反対するべきだという意
見が目立ち、このように現実、実情を伝える機会をもっとつくってほしいという
声が多くよせられました。このように目にみえる形で人々の心に働きかけること
で、少なくとも平和は心の中で祈るだけではなくて行動に移す必要があるのだと
いう方向に何人かの意識を向けることができたという手ごたえを感じました。

なお、当日配布した資料の中身は、以下のとおりです。
・湾岸戦争までの経緯を記す年表
・劣化ウラン弾の被害(イラクの人々・米英兵やその家族の状況)に関する文章
・9.11以降から現在までの情勢について述べた文章
・写真展に協力してくださった方々のお名前紹介

参考した文献および資料は、以下のとおりです。
・ラムセ゛ー・クラーク『ラムセ゛ー・クラークの湾岸戦争−いま戦争はこうして作られる』地湧社、
 1994年
・森住卓『イラク 湾岸戦争の子どもたち−劣化ウラン弾は何をもたらしたか』
 高文研、2002年
・中国新聞特集「湾岸戦争 米・英軍が95万個使用 劣化ウラン弾 被曝深刻」
 URL(http://www.chugoku-np.co.jp/abom/uran/index.html

アンケートの質問内容は、以下のとおりです。
学部・学年
1.湾岸戦争を知っていたか
2.劣化ウラン弾の被害について知っていたか
3.イラクという国やそこに暮らす人々について、あなたはどのような印象を
もっているか。※写真展をみる前と後で考えに変化があった方は、どのように変
化したかも記入してもらう。
4.場合によってはアメリカとイラクが戦争を始めるかもしれない。このような
状況についてあなたはどう思うか。※写真展の前と後の変化も聞く。
また、このような状況において日本の政府や市民はどのように動くべきだとあな
たは思うか。
5.その他、感想などを自由に記入

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